用途：専用住宅　新築
構造：木造　二階建て　伝統工法（渡り顎）　長尺材使用
場所：徳島県海陽町
敷地：536.63平方メートル
面積：156.4平方メートル
施工：マエダ建設
設計：游・空間デザイン室
協力：かいふの木の家（渕村林業・富田製材・マエダ建築）
竣工：2014年

















このお家は、今も丸太買いでお世話になっている林業家の方のご自宅です。
長年この家の為に集められた良質の『かいふの木』を、様々な処にふんだんに贅沢に使っています。

構造材は伝統工法渡り顎の仕口を使い、13ｍ、9ｍ、7ｍの長尺材を用いる事により、構造材の継ぎ手が無い奇跡のような伝統的な木構造を作る事が出来ました。

構造材は長くても６ｍ、基本４ｍ、３ｍが基本であり、長い梁などは継ぎ手でつないでいく事が現在の習わしである中、手間暇をかけ大量に山奥からこれだけの長尺材を出すことが出来た事は、かいふの林業家の凄腕以外の何者でもないと自負する、ご苦労だったと思います。

様々な材料に何年も時間をかけて自然乾燥していただいていた事を知っていたので「どこからどこまでまで使いきれるか？！」私自身が山の全てを教えていただいた偉大な林業家との知恵比べをさせていただいているような設計の過程でした。

構造材は勿論節はありますが、外壁、軒裏、建具、家具、内装材の殆どに無節の材料を使用しました。

この『林業家の家』はかいふ地域の匠達も驚くほどの材料とそれに対峙した林業家・製材・大工・設計者が、材料の良さを最大限に惹きだす事を、一緒に切磋琢磨した『かいふの木の家』の渾身の代表作だと感じ、これからも『かいふの木の家』を建てる機会はあると思いますが、これ以上の美しい木材を余すことなく使う機会はもう二度とないと思います。